債権者からのお尋ね
住宅ローンの支払いや滞納等で困っておられる方からの相談は多く寄せられますが、任意売却の交渉過程で、債権者の担当者からこんなお尋ねがありました。
「井上さん(仮称)の任意売却の件ですが、不動産の任意売却以外のことで、友進さんに何か相談されていませんか?」
「なぜそのような質問をされるのですか?」
債権者の質問に対してこちらも質問で切り返すと、本質が見えてきます。
任意売却成立後の残債支払いは、相談者の生活状況に応じて、少額の分割弁済をするのが通常ですが、他に連帯保証人がいるケースでは、引き続き回収手続きを進めていかなければなりません。
債権者としても連帯保証人に対して、催告や法的手続きを進めていくことになります。
今回の井上様の債務に対しては、父親が連帯保証人になっていました。
離婚した際に、奥様から連帯保証人を外すよう迫られたものですから、お父様が代わりになったようです。
それから約10年後にまさかこのようなことになるとは思ってもいませんでしたから、井上さんもお父様も気持ちが落ち着きません。
債権者は早期決着を図るために、お父様のご自宅を仮に差し押えたようです。
債権者の担当者はそのことで、私たちに相談がなかったのか聞きたかったようです。
「ご本人からは、父親の自宅の件は聞いています。この歳になって家を取られたらどうやって生活したらいいのかと、大変ショックを受けておられる様子でした。
仮に差し押さえたご自宅も、建築基準法の道路に面していない再建築不可の物件です。
担保価値もほとんどない不動産にそのような手続きをしても、無駄になるかもしれませんね。」
「担保価値が無くても、手続きはやらないわけにはいけないのです。」
親子とも逃げ隠れするわけでもないので、もう少し他の方法で交渉してもいいのではないかと思いました。